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2007/04/27
12:26:14
minzoku1.jpg
ファンタジー<短編>

戦中、他国へ逃れた少女の物語。
不安定な世の中へ、少女は祈りを込めて踊る。

ここはバレリア南東、ソールレル港。
船乗りたちの話し声、夜の仕事上がりに盛り上がる。
異国の少女はここで歌を歌い、踊りまわる。
民族楽器を取り出し、自ら演奏する。
そのリズムに合わせて、詩を口ずさむ。
それは詩人のそれとは違う。
英雄物語も、歴史や教訓もない。
戦の長引く時代を胸に、人々の心躍らせる詩。
その心躍る詩で、男たちの評判となった。
歌い終わると小さな子供が出てきて、彼が演奏をする。
落ち着いた、でも少しリズミカルなメロディー。
少女は立ち上がり、踊りまわる。
色褪せた蒼色の、少女の衣装が軽く揺れ、白い足を僅かに見せる。
そして派手な赤髪を乱し、儚く脆い、しかし芯のある、花のような華麗なステップを踏む。
少女の左手に持つのは赤い花束、その赤が彩を添え、より色っぽい仕草となる。
踊りの後半には、花束から一本ずつ取り出し、男たちの手に添える。
少女の右手は空っぽになる。
だが、気づくと硬貨を握っていた。
受け取っては硬貨入れへ投げ込み(これが上手く入る)、花を取り出しては渡す。


緑一色ではなく、白や黄、赤などの色も豊富にある丘。
そこに一人の少女がいた。
アリエスは、黄色い花を摘んでいた。
花の束を作り上げると、港の酒場へと戻った。
「おかえり。」
酒場の主人が張りのある声をかけた。
「ただいま。」
少女も元気に答えた。
「今日は黄色い花だね?今夜は華やかになりそうだ!」
主人はそう言うと、鼻歌を歌いながら準備をした。
アリエスは、連れの子供、ダニエルと仲がよかった。
友達と同時に、商売のパートナーでもあった。
二人は一緒に、演奏の練習を始めた。
そのメロディーにあわせて、酒場の主人も鼻歌をそろえた。

夜、いつものように客が入り出した。
「そろそろじゃない?」
「そうね。」
アリエスは答えると、楽器を持って舞台へと上がった。
舞台といっても、少し段があるぐらいの狭い場所だ。
楽器を置くと、アリエスは挨拶をした。
「今日も船旅お疲れ様です、旅の疲れを私の詩で吹き飛ばしてくださいな!」
すると、周囲から拍手が沸いた。
「待ってましたー!」
「やっほー!」
叫び声や拍手が消えると、アリエスは楽器を弾いた。
今日は新曲で、割と明るい曲だ。
テンポもいい曲なので、船乗りの男たちも踊りだした。
酒場の主人までもが踊りだし、酒場は一気に盛り上がった。
演奏が終盤になると、賑やかというレベルを超えた。
すると、ある一角で乱闘騒ぎが起こった。
アリエスは、演奏をやめると、何事?と見に行った。
図体のいい男が二人、喧嘩してたようだ。
内容はしょうもないことだろう。
だが、一人は完全に怒っていた。
「うるせぇー!もっとマシな曲演奏しやがれ!!」
近づいたアリエスに怒声を浴びせる。
周りはアリエスにフォローを入れるが、もちろんアリエスもただ怒ってるだけとわかっていた。
「場を乱すなら、出て行ってくれません?」
アリエスの言葉が癇に障って、ついに男は暴れだした。
「ふざけんじゃねぇー!」
男が叫び、アリエスに殴りかかるが、アリエスは軽いステップで避けた。
そのことで、余計に怒った男は、椅子を持ち上げ、投げ飛ばした。
アリエスは、さすがに避けきれないと思った。
椅子がぶつかる、と思いきや、何も起こらなかった。
眼を開けてみると、目の前には十代後半ぐらいの青年がいた。
見たことがない、恐らく旅人だろう。
青年が両手で椅子を押さえると、足を払って、男を転ばした。
「女の子相手に見っとも無いじゃん。」
少年が言う。
だが、男は青年にやられたと思うと、余計に腹が立った。
「表へ出ろ!」
男の声に、青年は頷いた。
心配そうに見つめる少女(といっても青年と同じくらい)、そして美しい女性。
彼の連れだろう。
客の大多数が外へ出た、お祭り騒ぎである。
連れらしい、二人の女性も心配そうに外へ出た。
「まったく、怒りを奮い立たせるようなこと、しないでよねー。」
アリエスは主人に怒られて、謝った。
ダニエルからも、危ないって強く言われた。

しばらくすると、客がぞろぞろと入ってきた。
やがて、あの青年も入ってきた。
どうやら無事なようだ。
「あんまり無茶なこと、しないように。」
アリエスに向かって軽く笑顔を見せた。
嬉しくなった。
「ダニエル、演奏!」
ダニエルはあわてて演奏を始めた。
その音に、客たちは振り向いた。
アリエスの華麗な舞が始まっていた。
激しい曲を踊りながら、アリエスは黄色い花を取り出した。
そして、青年に近づくと、口づけをし、腕を掴んで花束を渡した。
アリエスがウインクすると、青年は少し赤くなった。
そして、
「黄色も素敵だけど、赤のほうが似合うと思うよ。」
と彼は言った。
嬉しくなって、さらに踊る。
ふと、彼の横には連れの少女。
顔を赤くして怒っていた。
「もう、ケインっ!無茶するんだからっ!」
ちょっと嫉妬も入っているようだ。
もう一人の、美しい女性のほうは笑っていた。
ケインと呼ばれた青年は、少女に謝りながら、外へ出て行った。

明日から、赤い花にしよう。
アリエスは思った。

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